それぞれの精製手順
ウォッシュド(水洗式)
ウォッシュドが最も一般的な精製方法であり、よく口にするコーヒーはウォッシュドかと思います。
<手順>
①収穫後、パルパーと呼ばれる果肉除去機で外皮と果肉を取り除きます。
②専用の水槽内で約12時間~72時間かけて発酵を行い、粘液(ミュシーレージ)を分解します。
その後、水で粘液をしっかりと洗い落とします。
③種子と内皮(パーチメント)の状態になったコーヒー豆は、天日乾燥や乾燥機にかけて乾燥を行います
。乾燥した生豆は最後、脱穀をかけて内皮を取り除き完成します。
―味の特徴―
水でしっかりと粘液まで落としてから乾燥するウォッシュドのコーヒーは、クリアな味わいに仕上がります。
癖がそこまでなく、万人受けのコーヒーですね。
ナチュラル(乾燥式)
ナチュラルはウォッシュドのように大量の水を使わないので、排水汚染もなくエコな精製方法となります。
また、ウォッシュドに比べて簡潔な精製方法であり、導入コストも低いため、生産地側の導入障壁が低いと言われています。
主にブラジル、エチオピア、イエメンは、ナチュラルの精製が多いですね。
<手順>
①ナチュラルは収穫後に、そのまま乾燥します。
②実をつけたまま2週間ほど乾燥を行い、レーズンのようになったところで、脱穀して外皮・果実・粘液・内皮を除去して完成
このようにコーヒーチェリーを広げて天日乾燥をすることが一般的であり、一見シンプルで手間がかかっていないように見えますが、薄すぎる層で並べると発酵する前に乾燥してしまい、厚い層にしすぎると熱が発生し、過剰な発酵を起こしてしまいます。
これらの関係と合わせて、気候による変化も考えながら精製を行いますので、非常に繊細な精製方法と言えます。
―味の特徴―
品質が高く、適切な処理をされたナチュラルコーヒーは、果実由来の甘味があり、フルーティ・ワインのような味わいに仕上がります。
ナチュラルは根強いファンがいらっしゃる印象ですね。
半水洗式(ハニー/パルプドナチュラル)
ハニーとパルプドナチュラルの違いは後ほど説明します。
今のところは、ハニー=パルプドナチュラルだと考えてください。(以下ハニーで統一します。)
<手順>
①ハニーはウォッシュドと同様に、最初にパルパーで外皮と果肉を取り除きます。
②ウォッシュドではその後、粘液を取り除きますが、ハニーは粘液をつけたまま乾燥します。
③乾燥後に脱穀を行い、粘液と内皮を取り除いて完成です。
―味の特徴―
作り方は、ウォッシュドとナチュラルの中間のような形ですが、実は味もウォッシュドとナチュラルの中間のような味わいです。
決して悪い意味ではなく、クリーンな味わい且つ、フルーティな甘みも味わえる、良いとこ取りのコーヒーです。
<ハニーとパルプドナチュラルの違い>
ハニーとパルプドナチュラルの大きな違いは、
主にコスタリカで生産される場合の呼称=ハニー
主にブラジルで生産される場合の呼称=パルプドナチュラル
そしてハニーの場合は、ハニーの中でも分類ができます。
分類の方法は粘液(ミューシレージ)の残留率と乾燥時間を基準に判断します。
ブラックハニー・・・ミューシレージをほとんど残して約1か月乾燥
レッドハニー・・・ミューシレージを50%程度残して約2週間乾燥
イエローハニーミューシレージを25%程度残して約1週間乾燥
ホワイトハニー・・・ミューシレージをほぼ洗い流す
ただ、これらの基準は明確なものではない為、農園によって異なる場合があり、独自の呼び方をすることも多くあります。
ちなみにパルプドナチュラルの多くはイエローハニーに近い状態が多いと言われています。